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タイル製造に時間がかかる5つの理由|品質と耐久性を支える工程とは

タイル製造に時間がかかる5つの理由|品質と耐久性を支える工程とは

画像:AIによる画像イメージ
タイルは建築やインテリアにおいて、耐久性と美しさを両立する重要な素材です。しかし、その製造には多くの工程と時間が必要となるため、「注文から納品まで時間がかかる」と感じられることも少なくありません。本コラムでは、タイル製造がなぜ長期間を要するのかを5つの主要なポイントに分けて解説します。

まずは、タイル製造全体の流れと本コラムの構成をご紹介します。原料・顔料の調合から成形、乾燥、焼成、検査・選別に至るまで、それぞれの工程が品質と耐久性を支える大切な役割を担っています。各章では、専門的な視点から工程ごとのポイントを具体的に掘り下げ、時間をかける理由をわかりやすくご説明します。

これを読むことで、タイル製造のプロセス全体像と各ステップの意義が理解でき、納期の背景にある技術的・品質的な必然性が納得いただけるはずです。では、まず「原料・顔料の厳選と調合」から見ていきましょう。

1. 原料・顔料の厳選と調合

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1-1. 原料採掘と選別

タイルの品質を左右する第一歩は、原料となる鉱石(長石・陶石・粘土など)の採掘です。地下から採取した原石には、含まれる成分や水分量にムラがあるため、以下のような工程で徹底的に選別します。

  • 一次選別:大きな不純物や異物を取り除き、鉱石の粒径を揃える。
  • 洗浄処理:表面の泥や塩分を除去し、焼成時の欠陥リスクを低減。
  • 化学分析:成分比率を測定し、タイルの強度や色調に影響するカルシウム、ナトリウム、アルミニウムなどの含有量を確認。

この徹底した選別と前処理によって、後工程でのひび割れや変色を未然に防ぎ、安定した品質のタイルづくりを可能にします。

1-2. 顔料素材の調達と安定化

タイルの美しい色合いを生むのは、金属化合物をベースとした顔料です。コバルト、クロム、マンガンなどの化合物は、焼成時の高温環境で化学反応を起こし、鮮やかな発色をもたらします。主な工程は以下の通りです。

  • 調達:厳選した化合物鉱石を安定供給ルートから仕入れ。
  • 前処理(粗粉砕):大きな塊を細かく砕き、ミルへ投入しやすいサイズに整える。
  • 試験焼成:少量を試験的に焼成し、色味と反応性を確認。特に、還元焼成・酸化焼成の条件下で発色が変わるため、最適な焼成プロファイルを見極めます。

この段階で色のバラつきや反応不足をつぶしておくことで、本番工程での不良率を大幅に低減できます。

1-3. 原料・顔料の調合プロセス

選別・安定化をクリアした原料と顔料を、最終的なタイルに求められる性能や色調に合わせてミル内で調合します。ポイントは「均一性」と「再現性」です。

1-3-1. 配合比率の設計

  • 強度重視:粘土成分を多めに
  • 色合い重視:顔料の割合を最適化

1-3-2. 少量試作

  • 小ロットで試しにミル投入し、泥状になったものを成形・焼成
  • 焼き上がりの色味や強度を検査

1-3-3. 本調合

  • 試作結果を踏まえ、定量的に原料と顔料を投入
  • ミルの回転数や投入順序を統一し、毎回同じ品質を生産できるよう管理

原料・顔料の厳選と調合は、タイル製造全体の“土台”にあたる重要工程です。ここでの品質管理が甘いと、成形や焼成の段階で不良が頻発し、結果的に納期遅延やコスト増加につながります。次章では、この泥状原料を用いた「成形の精密さ」を解説します。

2. 成形の精密さ

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2-1. 真空押出成形の概要

成形工程では、水分を含んだ泥状原料を「真空押出成形機」に通し、金型の形状に合わせて押し出します。真空状態で行うことで、原料内部の気泡を取り除き、成形体の密度を均一化。これにより、強度不足や焼成時の割れを防ぎます。まるでパン生地をゆっくり発酵させるように、素材のコンディションを最適化しながら形を整える工程です。

2-2. 金型の精度と交換作業

金型はタイルの仕上がり寸法や表面模様を決定づける重要部品です。製品ごとに微細な凹凸やエッジのラインを正確に再現するため、以下のような管理を行います。

  • 定期的な寸法測定:金型の摩耗や変形を検出し、規定の公差内にあるかを確認。
  • 表面仕上げの再研磨:微小な傷や凹凸が付くと、タイル表面に目立つキズとして転写されるため、研磨を実施。
  • 型替え時の試し成形:新しい金型を装着したら必ず試し押出しを行い、寸法・模様の再現性を検査。

この精密管理により、製品間でのサイズズレや模様のブレを最小限に抑えます。

2-3. 気泡・欠陥の防止策

成形時に残存した微細な気泡は、焼成段階で膨張・破裂し、ひび割れや凹みの原因に。そこで、以下の対策を講じます。

  • 真空脱気装置:成形機への投入前に泥状原料を脱気タンクで攪拌し、空気を抜く。
  • 押出速度の最適化:速すぎる押出は内部に気泡を巻き込むため、最適な速度で成形を行う。
  • 温度・湿度管理:原料温度が高すぎると粘度が下がりすぎ、気泡が抜けにくくなるため、成形室内を一定の温湿度に保つ。

これらの対策を組み合わせることで、不良率を大幅に低減します。

2-4. 成形後の品質チェック

成形直後のタイル胚(素地)は乾燥・焼成前の最初の検査拠点です。主なチェック項目は以下の通りです。

  • 寸法測定:厚み・幅・長さが規格内か。
  • 表面観察:気泡痕や表面キズの有無を目視および機械検査で確認。
  • 平滑性検査:表面の平滑さを測定し、タイル同士の接合面の精度を評価。

問題があれば金型や原料配合にフィードバックし、即時に調整を行います。

成形工程は、タイルの強度・寸法精度・デザイン再現性を左右する“中核”のステップです。真空脱気から金型管理、成形後の検査まで、多岐にわたる精密作業を連携させることで、後工程での手戻りを防ぎ、高品質なタイルを安定生産します。

次章では、第3章「乾燥工程の慎重さ」に進み、含水率管理とひび割れ防止の取り組みをご紹介します。

3. 乾燥工程の慎重さ

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3-1. 含水率コントロールの重要性

成形直後のタイル胚(素地)は、まだ多くの水分を含んでいます。このまま焼成すると、内部の水分が急激に蒸発してヒビ割れや反りが発生するため、「含水率」を適切なレベルまで下げることが必須です。含水率が均一でないと、同一バッチ内でも仕上がり品質にバラつきが生じます。

3-2. 乾燥炉での段階的乾燥

乾燥炉(ドライヤー)では、温度と湿度を段階的に制御しながら乾燥を進行します。一般的には次のようなプロファイルを用います。

  • 予備乾燥:低温・高湿度でゆっくりと表面の水分を蒸発させ、素地の膨張を抑制。
  • 中期乾燥:温度を上げつつ湿度を下げ、内部の水分をコントロール。

    仕上げ乾燥:高温・低湿度で最終含水率に調整し、焼成準備完了。

各段階の温度変化や風速管理を自動制御装置で行い、工程ごとに微調整しながら均一な乾燥を図ります。

乾燥工程は、タイルの強度や平滑性を左右する極めて重要なステップです。含水率コントロール、乾燥炉のプロファイル管理、自然乾燥の併用、そして厳密な乾燥後チェックを組み合わせることで、ヒビ割れや反りのない安定品質を実現します。次章では「長時間焼成で生まれる強度」について解説します。

4. 長時間焼成で生まれる強度

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4-1. トンネル窯による連続焼成の仕組み

タイルの焼成には「トンネル窯」が用いられ、成形・乾燥済みの素地を専用台車に積み、トンネル状の炉内を自動で連続移動させながら高温で焼き上げます。連続焼成方式により、均一な窯内環境が維持され、大量生産に適した安定した品質を実現します。

4-2. 酸化焼成と還元焼成の使い分け

焼成工程では、以下の2つの雰囲気を段階的に切り替えながら焼くことで、タイルの性能と色調を最適化します。

  • 酸化焼成:酸素を豊富に含む環境で焼く工程。釉薬の透明感や鮮やかな色を引き出す。
  • 還元焼成:酸素を制限した環境で焼く工程。金属化合物の色調変化(深みのある発色)や強度向上に寄与。

両者を組み合わせることで、タイル表面の美観と内部の機械的強度を両立させます。

4-3. 焼成プロファイルの精密制御

トンネル窯内では、数℃単位で温度を制御し、以下のようなプロファイルで進行します。

      昇温段階:徐々に温度を上げ、タイル内の残留水分を取り除きながら素地を予熱。
      ピーク焼成:最高温度域で釉薬の溶融とガラス化を促進し、硬度・耐久性を付与。
      降温段階:緩やかに温度を下げ、急冷によるひび割れを防止。

温度の立ち上がり速度や滞留時間、雰囲気切り替えタイミングは炉ごとに最適化されており、製品ごとの特性に合わせて細かく調整されます。

4-4. 焼成後の内部組織と強度評価

焼成後のタイルは顕微鏡(SEM)やX線回折(XRD)解析などで内部の結晶構造を評価し、次のポイントを確認します。

  • ガラス相の均一性:釉薬層のガラス化度合いが均一か。
  • 結晶相の形成:耐熱性や機械的強度を支える結晶相(例:ムライト)の含有量。
  • 微細クラックの有無:高倍率でのキズ検査により、肉眼では見えないクラックを検出。

これにより、製品が設計どおりの耐荷重性や耐久性を備えているかを定量的に裏付けします。

焼成工程はタイル製造における“心臓部”とも言えるステップです。トンネル窯での連続焼成、酸化/還元焼成の組み合わせ、緻密な温度・雰囲気制御、そして焼成後の内部評価を経て、タイルは高い強度と美しい仕上がりを同時に獲得します。次章では、最終章「品質検査・選別の徹底」に進み、出荷前の最終検査プロセスをご紹介します。

5. 品質検査・選別の徹底

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5-1. 外観・寸法検査

焼成後のタイルは、まず目視および機械検査装置によって外観と寸法を厳密にチェックします。

  • 色ムラ・釉薬付着の確認:光学カメラで表面をスキャンし、わずかな色ずれや釉薬の不均一を自動検出。
  • 寸法測定:レーザー寸法計を用い、厚み・幅・長さが設計公差内であることを保証。
  • 反り・凹凸のチェック:平面性測定装置で凹凸を計測し、施工時の施工性や目地幅への影響を抑制。

不良が見つかった場合は、製造記録と照合し、該当ロットの成形条件や焼成プロファイルを再評価します。

5-2. タイル割りとグレーディング

湿式押出製法では、焼成後に二枚が連結した状態で出てくるため、手作業で丁寧に分離します。

  • 割り工程:専用の割り機で接着面を確実に裂き、割れ欠けを最小限に抑制。
  • グレーディング(格付け):色調・表面状態・寸法精度ごとにランクを設定し、用途や予算に応じた複数グレードを用意。
  • トレーサビリティ管理:各タイルにロット番号をバッチ付けし、問題発生時には製造工程まで遡って原因解析が可能。

この選別作業により、建築現場での仕上がりイメージと品質要件を確実に満たす製品を提供します。

5-3. 梱包と出荷準備

最終的に合格したタイルは、施工中の破損を防ぐために慎重に梱包されます。

  • パレット積み:耐荷重シートと防水フィルムでパレットに固定。振動吸収材で衝撃を緩和。
  • 検品チェックリスト:梱包前に最終点検。数量・グレード・配送先情報を二重チェック。
  • 出荷準備:運送業者の仕様に合わせ、パレット高さや積載方法を調整。輸送中の安定性を確保。

梱包仕様書と出荷伝票を厳守することで、現場到着時のトラブルを未然に防ぎます。

最終章では、焼成を終えたタイルが出荷されるまでの検査・選別・梱包工程を解説しました。外観・寸法検査で品質を保証し、手作業で丁寧に割り・格付けを行い、安定した梱包で現場へ届けます。これらの厳格なステップが、高品質なタイルをお客様にお届けする最終防波堤となっています。

6. まとめ

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タイルが完成するまでには、多くの工程と時間が必要です。しかしそれは、寸分の狂いも許されない寸法精度や、長期間にわたって美しさを保つ耐久性を実現するために不可欠なプロセスです。
本コラムでは、原料調合から焼成・検査に至るまで、タイルづくりに時間がかかる理由を5つの視点からご紹介しました。

リペアタイルラボでは、こうした伝統的な製造手法による高品質なタイル製作はもちろん、デジタル技術を活用した全く新しい製造アプローチにも取り組んでいます。短納期・小ロット対応・カスタムパターン生成など、従来では難しかった仕様にも柔軟に対応可能です。

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この記事を書いた人

タイルラボ編集部岡野

タイルラボ創業当時からタイルに新しい価値を創造すべくデジタル活用を推進しています。
リペアタイルラボをはじめ、サインタイルラボやオーダータイルラボの様々な特注タイル関連のサイト運営を行う

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